TOKYO ART
& ANTIQUES

東京 アート アンティーク 2017

4.14( 金 ) , 4.15( 土 )

店主インタビュー 古美術 薫匠堂( 2011 年)

薫匠堂

堀内雅史氏

Q 始めに薫匠堂を始められたきっかけを教えてください。

A このお店を始めて3年目なのですが、もともとは電機メーカーでサラリーマンをやっておりましたので、古美術とか絵画とかギャラリー関係とは一切接点はなかったんです。ですけど、サラリーマン生活の中で一生この生活を続けるのか、何かちがうことができるのか、迷いながらも会社をやめてしまって。その時、陶芸の道というのがとてもよく見えたんですね。自由気ままに海と山に囲まれたところで作陶して、というのがサラリーマンからすると憧れだったんです。ところがいざ入ってみると、そっちは非常に厳しい世界で、プロスポーツ選手と同じでそれをやって食える人はほんの僅かです。その中でこれはだめだなって思いながらも、じゃあ何が出来るだろうかと迷っていた時に、自分は作る才能はないけれども、ものを見ることは好きだったので、焼き物を扱う商人だったらなれるんじゃないかなって思って。そこではじめてこっちの美術品を売買するという商売の方に目が向きまして。それが26才の時でした。それから12年でようやく店が持てまして、それから3年目をむかえております。

Q ではもともと骨董をコレクションする趣味があったわけではなかったんですか?

A 全然ちがいます。そこは本当に感謝していることなのですが、高いお金を出して買っていただいているお客様というのは、非常に特別な存在の方々だと思うんです。皆さん家計の節約とか切り詰めながら増やす方に考えているじゃないですか。そう考えれば古美術の世界は、何十万、何百万、何千万のものを買える、ということ事態がすごいことであって。自分はとくにそういう趣味はなかったんですよね。零細個人商店であるが故にメリットとデメリットがありまして、メリットとしては圧倒的に自由ということですよね。私の中で仕事での第一優先順位って自由なんですよ。ただこの美術商というスタイルがその自由というのに一番合っているのがこの古美術商という世界かなと思いまして。

Q 今お店で取り扱っている品物はどういうものがメインなのでしょうか?

A 私は今でも元々専門がないんですね。この世界では、例えばどのお店で5年、10年修行してとか、おじいさんお父さんの時代から受け継いでいるとかが普通だと思うんですが、メリット、デメリットあるかと思いますが、僕は何を扱っても自由だし専門がないので、あらゆる分野を取り扱っております。現在は世界的な中国ブームで当店も中国美術の扱いが増えております。ただ、どのような分野の品物であれ、その物に応じて最も適する場所へ、ふさわしい所へ売ることを心がけております。

Q ご主人が個人的に、好きなジャンルやものを教えていただけますか?

A 昔の明朝時代の書なんかが好きですね。ああいうものは持っていたいですね。一般的にはあまり華やかできれいなものではないですが、あとは日本の古いお坊さんの書も好きですね。

Q それはどういうところに魅力を感じるのですか?

A やっぱり字にその人の人と成りが出るのがいいのかな、と思います。昔の中国の戦乱の中で攻防を繰り返す王朝の中を生きて来た高級官僚だったり高級軍人だったり。当時字が書けて紙と筆を持っている人は位が上な訳ですから、そういう方々の生き様、心が出ているような字が好きですね。

Q 店内の家具や色がとても特徴的で、西洋のものと東洋のものが組み合わせてありますね。

A  西洋の家具と東洋のものって結構合うんですよ。それはすごくこのお店を作る時に、最初にやりたかった家具のしつらえだったんです。東洋ものを扱っているので、東洋っぽくするのはどうしようかな、と考えましてね。自分の好きな場所にしようと思ったんですね。

Q 今一押しの商品は何かあるのですか?

A 伊藤若冲とか、本願寺蓮如とかそういったものがちょっとありますね。あと中国の印材とか置いてありますね。

Q 色々なジャンルを扱っていると色々なお客様も来られると思うのですが、珍しいコレクションをされている方はいらっしゃいますか?

A それこそヤフーオークションから神社の骨董市から京橋の専門店まで色々なところから集められる方がいらっしゃるんですけれども、プロよりもっとすごいコレクションされる方もいれば、アマチュアとして楽しまれる方もいて、どちらもいいと思うんですよ。そういう中では、静岡に住んでらっしゃる富士山コレクターとか。富士山がついているものなら何でもいいとかね(笑)。何千円のものから何十万のものまで集めてらして、ご本人が楽しんでいるのでいいな、と思います。美術的価値はどうあれ、例えば業者がゴミだと思っているものがそうではなかったりして、楽しまれていること自体がすばらしいことだと思いますね。あとは井上靖コレクターとか。コレクターの方といっても、基本的には我々と一緒で、結局は儲かるものを買ってる方が多いですね。プロから買うんだけども、結果的に自分がこれを設けて転売しようと。だけどそれは全然悪いことではないし、業者として批判する筋合いもない。それはお客様の自由ですからね。この商売の醍醐味なんですけれども、自分が好きで買ったものが何倍にもなって自分に利益をもたらしてくれると言うことはプロであれ、アマチュアであれ、嬉しいことだと思うんですよ。その醍醐味にのめり込んでしまうのは致し方ない(笑)。楽しいことだと思います。もちろん痛い目に合うこともあるかもしれませんけどね。

Q そのようなエピソードはおありだったんですか?

A ゼロから始めてきたので、幸いあまり損したことって今までないんですよ。余裕がない分慎重にならざるを得ないですからね。

Q では取り扱われているものは一点一点吟味して選ばれているのですね。

A というよりはですね、どちらかというと直感でぱっと買ってしまったというものが多いですね。結果的に手にとってあれやこれやずっと考えて答えを出すよりも考えずにぱっと見た目で一秒かからずに直感で判断して買う買わないを決めてしまったものの方が多分失敗しないというような気はします。

Q 初心者にとって自分の直感だけで買うというのはやっぱりちょっと恐い気もするのですが...。

A あ、言葉が足りませんでした。今の話はあくまでもプロ同士の市場でのやり取りの話です。初心者の方は、店主の話をじっくり聞いた上で他の店も比較して検討してください。後は、初心者の方は、あるお店と縁ができたら、ずっとそこに行こうとしてしまう傾向がありますよね。ただそれが一番危険なことで、初心者の方はとにかくたくさんのお店で買うことが大事だと思います。一つの店だけで決めてはいけない。たくさんの店で比べて買えば、同じものでも値段がどうちがうのか同じ時代で同じものだと言われても見て比べることが出来ます。一つのお店だけで買ってしまうと判断基準がないから、もしかしたら全部ものがね、ということにもなりかねませんから。

Q お店を出す前はどういったものを扱っていたのですか?

A お店を出す前はですね、古い料亭の出物の蓋茶碗とか箸置きとか長皿とか。箸置き一個二百円とか。そういうものを売ってましたよ。お茶碗一個五百円とか。倶楽部だけではなくて、公民館とか町内会館でやっている市場もいっぱいありますしそういうところには何でも出ますので、そういう市場で買って売っていました。

Q 今はどういったところで仕入れて来られるんですか?

A 今はここらへんの皆さんと同じように美術倶楽部に会場を置いている業者の交換会で仕入れたり。でも最近お客様のお宅で直接買い取らせていただくというのも多いです。例えば相続とか古いお家を建て直すとか。

Q お休みの日は何をされているんですか?

A どちらかと言うと年中無休かもしれません。買いに行ったり見に行ったり。他のお店もそうだと思うんですけれど、ほとんど皆さん休みはないかもしれないですね。

Q 骨董品以外で何かはまっているものはありますか?

A う〜ん......。家にたくさんいるんですが、猫を飼っております。猫は一緒に暮らしていて楽しいな、と思います。4匹います。彼らは面白いですよね。

Q 最後に東京アートアンティークに来られる方に一言メッセージあればお願いいたします。

A せっかくの機会ですから、品物について、値段についてでも何でもいいですから、店主に店員に本当にお気軽に声をかけていただいて聞いてください。

どうもお忙しいところありがとうございました。

(2011年3月)

〒 104-0031 中央区京橋2-8-4 佐野ビル1階

http://www.kunsyodo.com/

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