2011年より東京アートアンティーク店主インタビュー企画を始めました。

なかなか聞けないお店の裏話からプラーベートまで様々なことにまでお話いただきました。

店主の人柄や興味深い趣味のお話、初心者へのアドバイスまで個性溢れる内容となっております。

 

 

 

薫匠堂 四季彩舎 西川美術店 浦上蒼穹堂 侘助 ギャラリー川船 翠波画廊 つつみ美術 ギャラリーこちゅうきょ

薫匠堂

 

四季彩舎

 

西川美術店 浦上蒼穹堂 侘助 ギャラリー川船 翠波画廊 つつみ美術 ギャラリー
こちゅうきょ
天宝堂 三渓洞 古美術 祥雲 古美術 ささき 中長小西 かどまつ誠心堂 松森美術 平野古陶軒 井上オリエンタルアート
天宝堂 三渓洞 古美術 祥雲 古美術 ささき 中長小西 かどまつ誠心堂 松森美術 平野古陶軒 井上オリエンタル
アート

 

 

■井上オリエンタルアート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井上オリエンタルアート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井上オリエンタルアート

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

井上オリエンタルアート

 

井上雄吉氏

 

Q 古美術に関わるようになった経緯を教えて下さい。

 

A 私の大学時代、学園紛争やアルバイトへの没入し過ぎによってか、卒業の時には「優」の数ではシングルプレーヤー(!)になったりで、これではマトモな就職などとてもできそうもない、っと自己判断(笑)。古美術店を営んでいた父に就職の相談をすると、その後に私の御主人となる、東京の有力古美術店である、(有)丸ヱ大野商店を紹介されました。それで行ってみたら、「それでは井上さん、名前と生年月日を書いて下さい」と言われて。あとで解ったのですが、なんとそれが入社試験だったんです。なぜそんなこと聴かれたと思います?

 

Q 何でしょう…?

 

A あのね…実はそれ、「占い」だったのです。つまりそれは「姓名判断」。
我が母屋は、実におおらかな家風のおうちでしたね。また、その頃の日本はまだまだのんびりとしたものでした(笑)。それで就職の許可を頂き、住み込みになるはずだったのですが、お店からすぐのところにアパートを借りてくれって言われました。それも姓名判断です。あなたはこの方角じゃないとだめって。その後は、御主人のご意向に背いて、就職二年目にしてすぐに結婚をしました。今から考えると、私のご主人は相当、私には寛容でいていただきました。今でも深く感謝をし、尊敬申し上げています。その後、ずっと20年間修行しました。この二十年間という時間経過は世間的平均修行期間の軽く倍です。でもこの期間、楽しかった。もともと父が浮世絵商でしたから、簡単で安易な就職でした。でも一旦この世界を覗いてみたら、そこには素晴らしく、一方厳しい現実の世界がありました。でも、この仕事は面白くてね。なんてすばらしい業界だろうと思って。是が非にでもやろう、と思って始めたわけじゃないけれども、やってみたら面白かったということですね。それでこの原点を忘れずにずっと続けてきたわけです。

 

Q 初めは独立されてどちらにお店を構えたのでしょうか?

 

A 中央区八重洲の裏通りでした。本当に小さなお店で間口が9坪のお店でした。
その後にこの最初の店舗の眼と鼻の先にあった、繊維業界の名門・片倉工業ビル本社ビル一階に店舗を移転し、ここに五年間。そして、現在の日本橋の地に移転してきました。この間、山形に支店を開設したり(現在はない)、渋谷・東急本店内に支店を持ったり(現・前坂晴天堂が担当)で全部で計六か所の店舗をビルド&スクラップにしました。
私が独立する時に、丸ヱ大野商店のご主人からは「独立はやめなさい」と言われました。何故なのかと聞くと、「こんなに景気が悪いから君はやっては行けないかもしれないよ」と言われました。でも私は、「景気が悪いから、これ以上主人にはご迷惑をかけられませんし、この仕事はひとり芝居のようなものですから」と、今から20年近く前かな、バブルがはじけて景気はいつも最悪で、どんどん下降していました。でも日本にいるほぼ全員がこの下降曲線に乗るしかない時代が来て、下に落ちるのであったらそれもまた良いんじゃないかな!と思っていました。それでその後もずっと今まで何とかやっているという感じですね。でも不思議にこの世界では今まで生きて来ました。何故かなあ? と思います。これは極私的な意見ですが、その全ては経済原則であったと。景気が悪い時と良い時、経済の二律背反性の世界に私たちはいます。損する人と利益を享受できるひと。わたしどもあきんどはこの利益を享受できるヒトへとアプローチをすることで、自身の利益を確保していると・・・。

 

Q 裏の世界のお話になって来ましたが…(笑)

 

A 私のお茶の先生から「あなた方には畳の上で死んで欲しくない!」って冗談に言われます。なんですか?、っと聞くと、「だってあなたたちは私たちに損をさせてのうのうとしているじゃないって(笑)。確かにそれは旧来の今までのわたしども業界の成してきた古い形の仕事―ビジネスモデル―だったんです。でももうそういう時代は確実に終焉を迎えました。今後の新しい形態をこの古美術業界が創り出す転換点に今、差し掛かっていると思います。だからまじめにやらなきゃだめなんです。それが結論(笑)。

 

Q 今は四六時中美術のことばかりですか?

 

A いえ、私は自宅には古美術作品は置きません。ほぼ年中無休、休み無しでやっている自身には気分転換、必要ありません。なぜなら、これはすばらしい仕事だし、誇りとすべき職業だからです。で、家には現代美術しか置かないです。現代美術作品の簡潔性も大好きですね。

 

Q 他に趣味のようなものはありますか?

 

A この年になったらいらないですよ。こんなに楽しい仕事をやっていたら、気分転換っていらないじゃない? サラリーマンの方々には土日ぐらいは仕事を休まなきゃとても耐えられないでしょうし、休日なしではやって行けないですよ。何故かというと、それはサラリーマンの方々にはかならず人間関係があるからです。上司と同僚、そして部下や取引先との人間関係のせめぎ合いで、神経をすり減らし、気分がギシギシしているでしょ? でもわたしの仕事環境にはそういうのがまったくありません。

 

Q 美術以外で集めてらっしゃるものはありますか?

 

A これが(骨董蒐集)。 仕事が結局はお買い物です。人間ってお買い物していればストレスが発散され、楽しいんですよ。だからストレスは溜まらないんです。今日、たまたま買った来ました、この小さな「唐金銀象嵌小盒子」、 これ実は今から10年程以前に私の目の前を通り過ぎて行った品だったんです。その時は欲しかったんだけど、買えなかったんだ。だからこれは今日是が非でもゲットしようと思って買いました。

 

Q それは値段的に買えなかったということですか?

 

A というか自分の力がなかったからですね。今あるかどうかもわからないけど、今日は絶対にゲットしてやろうと思って。だから今日は嬉しかったですね。
正倉院伝来御物にも同様作品がありますけれども。それが金銭で買えるんですから。これは拡大鏡で見ると驚くべき技巧です。小さい中に無銘工人の気持ちが全部入っている。これは発掘された後、人の手から手へ伝わって伝来されたものです。現代美術とはまた全然違います。次元が違うというか、時間を超越しています。8世紀のもので、シルクロードの伝搬の美意識伝承が如実に現れている…(ルーペで見せていただく)当時はレンズなどはないんです。いったいどうやってこれを作ったんだろう。中国の工人って本当にすごいんです。完璧です。

 

Q どういう基準で品物を選ばれるんですか?

 

A 好きなものを買う。それは、お客様もそうして単純発想した思考の波調にたぶん呼応していただけるであろう、と確信していますから。自身が嫌いなものは絶対に仕入れない。これは信念です。
あと、やっぱり「格」があるものですね。人間にもあるでしょ?―人格、品格、骨格―そういったもの。モノにも「品格」があるべきです。ですから、偽物は絶対にダメ。 すでに「格」がない。崩れちゃってるから。ダメなもの、どこかで解りますから。「今日も偽物買っちゃって、しょうがないよなア、」って。
未だこの年になっても偽物買っちゃうんだから、反省。偽物を買うと落ち込みますよ。

 

Q 今までで変わったコレクションを持ったお客様はいますか?

 

A いますよ。すばらしいお客様いますよ。そのお方は一人暮らしなんですけど、ご自身のアパートの中、その全てが美術品で埋め尽くされています。アフリカンアート、現代美術、東洋古陶磁、ヨーロッパ、アボリジニ、インカ、ペルー、アメリカン・インディアン、凡そ人類が創造した「形態」その全て、それこそなんでもがお好きお方です。要するに人間が創り出した造形が好きで、それを懸命に集めていらっしゃる。その大コレクターのお方が引っ越す時に、3人のアルバイトを頼んで、お引越しに3ヶ月掛かったそうです。私は残念ながらそのお方が引っ越された後、最近になりそのお方とお知り合いになれましたが、千数百点のご所蔵作品の数々、凄いですよ、圧倒されます。本物のコレクターありき!です。

 

Q 最後に東京アートアンティークにお越しの方に一言メッセージをお願いします。

 

A ふだんはご縁の遠そうな感じでも、どうぞお気軽に参加店へのご来店をお待ちしています。皆さまゆっくり、そしてのんびりと楽しんで下さい。

 

(2011年4月)

 

井上オリエンタルアート

東京都中央区日本橋本町4-1-12

店舗案内

http://www.inouye-art.com/

 

 

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