2011年より東京アートアンティーク店主インタビュー企画を始めました。

なかなか聞けないお店の裏話からプラーベートまで様々なことにまでお話いただきました。

店主の人柄や興味深い趣味のお話、初心者へのアドバイスまで個性溢れる内容となっております。

 

 

 

薫匠堂 四季彩舎 西川美術店 浦上蒼穹堂 侘助 ギャラリー川船 翠波画廊 つつみ美術 ギャラリーこちゅうきょ

薫匠堂

 

四季彩舎

 

西川美術店 浦上蒼穹堂 侘助 ギャラリー川船 翠波画廊 つつみ美術 ギャラリー
こちゅうきょ
天宝堂 三渓洞 古美術 祥雲 古美術 ささき 中長小西 かどまつ誠心堂 松森美術 平野古陶軒 井上オリエンタルアート
天宝堂 三渓洞 古美術 祥雲 古美術 ささき 中長小西 かどまつ誠心堂 松森美術 平野古陶軒 井上オリエンタル
アート

 

 

■ギャラリー川船

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラリー川船

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャラリー川船

 

 

Q 画廊を始めて何年になりますか?

 

A もうそろそろ30年。一番最初は日本橋で、店自体はここで4軒目。

 

Q 絵画がご専門なのですか?去年は彫刻もやってらっしゃいましたが、作品の年代はいつ頃のものが多いのですか?

 

A そうですね、独立して店を始めた当初がね、1900年前後から1940年ぐらいまでの作家を扱うことが多くてね。その延長として物故作家でも「マイナー」って呼ばれてた作家で絵画は本格的なんだけど、あまり売れない作家というのがいて、そういう作家を中心にぽつぽつやってました。その延長として彫刻なんかも扱います。あまり有名な作家は扱っていなくて、後から有名になった人はいるけれども、かっこ良く言えば、作品が面白いかどうかでやって来たつもりなんだけれど。

 

Q 独立される前は何をされていたのですか?

 

A 前は古美術。肉筆の浮世絵とか琳派とか、江戸の文人画というか書画。そういうお店に努めていた。いわゆる骨董品とか焼物を扱うお店ではなかったですけど。

 

Q では、若い頃から美術の世界に入ろうと思っていたのですか。

 

A まあ、入ったのは全くの偶然ですね。

 

Q 物故作家は埋もれてしまった中から探すこともあるのですか?

 

A この20年、30年は日本の美術は従来あまり光があたらなかった作家にもう一度光を当てるようなきっかけになったような時代だったのね。1972年の時のバブルは短かったけれども、始めて油絵というのが一般的に売れるぞってなってきた最初なのね。1990年のバブルというのはデパート銘柄以外に面白い作家が一般的に知られるきっかけになって、同時に従来知られていなかった作家も引き上げられた。そして最近の韓国と中国の現代美術のバブルというのは、現代美術というものに若干光があたって来て、従来言ってた現代美術と最近言っているコンテンポラリーというのに差はあったけれども、始めて現代美術というのは世界的な規模の市場性を持たないとだめなんだよってことがわかったきたというバブルだったわけですよ。

 

Q 今は若い作家さんも扱っているのですか?

 

A 同時代的な感じでやって来たものですから、今一番メインで扱っている作家で40代かな。できれば若い作家も扱っていきたいと思うので、そういう取り組みもしているのですけど。
東京アートアンティークでやるFa-Qという作家は前から何回かやっているのだけど、彼はアメリカ人で去年の秋口に亡くなったんですね。たまたま向こうの知り合いの紹介で変な人がいるぞってことで、当時は薬でしょっちゅう刑務所とシャバを行き来してたような人で。もともと薬だけやってたわけじゃなくて、80年代のバスキアと同じでストリートアーティストでほぼ同じ時期に名前が出てきた人で。バスキアやキース・ヘリングは個々で名前が売れていったけれども、Fa-Qはグループで名前を売っていった人たちなのね。その中でも一番のスターだったんだけれども結局薬をやって転落の一途になってしまったんだけどね。バスキアたちは薬で亡くなっちゃったけれども、Fa-Qは体が大きかったものだから生き残っちゃったんだよね。それで10年ぐらいの間薬欲しさに軽犯罪を繰り返して使っては刑務所に入って、手に入る紙があればそれに絵を描いていたの。ちょうど最初にここへ移って来た時にやった展覧会はFa-Qと土屋さんという写真家でニューヨークで40年ぐらい下町をとり続けて来た人でその二人展をやったんだけれども、80年代から2000年代ぐらいのNYの雰囲気がよくわかる。

 

Q 今、珍しいと思う作家はいますか?

 

A 今は特に方向性が3つも4つもわかれちゃったんでね。村上隆や奈良美智にしろ従来の感覚からしたら珍しかった。彼らが新しく方向性を作っていったのだけど、海外のアートフェアを見てくると、アートの概念を飛び出したものがいっぱいあって、単に物珍しいとか新しいという観点だけで探そうとすると収集がつかなくなっちゃう。だからもう一度、アートというか芸術とは何なのか、扱う側が自分の中で問いかわして、自分でもう一度こうなんだって見てみないと扱っているものがわけがわからなくなっちゃうよね。確かに色んな物が現れてその時に注目を浴びてもどんどん消えていってしまう物もあるし、何十年もしてからもう一度見直されて出てくる物もある。今出てて高いからといって良いとは限らない。ちょうど明治以降油絵が入って来たけれども、日本の場合はそんなに遅れてないですよ、世界の潮流から見るとね。ほぼ同時代的に歩んで来てるんだけれども、どうしてもヨーロッパ、アメリカの影響のもとで単純に受け入れて来た。70年代の、もの派あたりから真似じゃないものがでて来て。そして奈良さん、村上さんあたりから独立した部分が取れるようになって来たよね。ただそれがじゃあ、世界の現代美術を全部見た時に完全に日本の国であるとか、全体の向かっていく方向性が立ち後れているから、作家が世界に出て行こうとするとかえって難しいですね。やっぱり従来の日本の文化政策なり国なり、支持体をもうちょっと考えていかないと。このままじゃ韓国、中国に完全に取り残される。韓国、中国どころか他のアジアにしても国を挙げて一生懸命美術をやってますからね。日本の指導層にあたる人たちが美術というものをもう一度考えてみないとだめなんだよね。どういう方向でどういう使い方をしていくのかわからないけれども。現代美術もそうだけれども、今は古美術も非常に価格が安いんですよ。この前の鎌倉時代の仏像が流出しかかった時に宗教団体が慌てて買い戻して、それが二桁の億だったんだけれども、それがウォーホールだなんだって美術品になると三桁の億になるでしょ。だからもう一度日本の美術品なり文化でもう一度外国の人たちを呼ぼうと思ったら相対的な価値観を上げていかないと。日本へ観光にくる人は今はほとんど秋葉原でしょ(笑)。

 

Q 絵画の市場というのは今活気があるのですか?

 

A 震災後はそんなに落ち込んではいないけれど、むしろリーマンショック以降の方が落ち込んでますね。古美術は中国ものを中心に扱っている人たちは賑わっているんだけれども、他はあまりパッとしないね。中国の業者が相当数入って来てて、競り出したら日本の業者も最近は負けちゃう。後は、日本の近代の油絵はオークションによって全滅状態。価格がつぶれちゃったね。よっぽど大名品に近い物が出れば別だけれども、中堅以降のものはバブルとか関係ない時の10分の1の値段。現代美術に関して言えば、欧米で売れている作家はいいけれども、そうでなければ売れない。若干バブルより落ちているけれども値段を維持しているのは棟方志功かな。極端に言うと今は売れる物がないの。何を買ってくれば売れるというのがないんで、そういう意味ではこまめに数をやるしかないね。

 

Q 一般的に画廊に訪れて作品を買うというモチベーションは低下しているのでしょうか?

 

A 結局オークションで買えばいいって感じが広がったんで、通常の物故作家を買っていたお客さんが大分オークションに流れていったね。だけど、そんなに顔ぶれが変わっているわけでもないから、同じ100人前後の中で繰り返し繰り返しやればそんなに買うわけでもないから、オークション会社の方は売れてなんぼだから、どんどん値段を下げていく。でも今変に高い時もあったりしてあまり読めないんだよね。

 

Q どういった方に来廊して欲しいと思いますか?

 

A そりゃ買ってくれる人がいいよ(笑)。どっちかと言うと自分の目でものを探せるようなタイプの人が増えるといいよね。何でもかんでも安ければいいみたいなことじゃなくて。そうなると名前と物の善し悪しも関係ないから。名前で追っかけてるから当然贋物にひっかかるし、それを見越して贋物もいっぱい出るし。現代物でも転売転売で奈良さんや村上さんにしろ、好きで買ってるかというとそうでもないよね。最初の頃に買ってた人たちは面白いね、っていって買ってたけど。もうちょっと他の作家に目を広げていくと、極端なこと言うと4、5万で良い面白い作家は結構いるんだよ。ただ、1万2万で財産価値がどうのって言い出してたら無理だけど、やっぱり本来的な楽しみ方で。僕もこの周りの貸画廊だけで1年のうちに4点や5点は面白いな、と思って買える作家いるからね。そんなに高いわけじゃないし。そんな風に皆が見て回れば自然と美術全体が活気づいてくるし、若い人たちも買ってもらえば励みになるし。
日本で特殊なのは、サラリーマンコレクターがいるということで、弱点もあるけれど、それだけ底辺の幅が広いのでそういう人たちが本当に面白いと思ってみて歩けばね。古美術でもね、昔私が入った頃は買わないと覚えないよ、って言われてね。当時は蕎麦猪口が手頃だったんで、朝市行って図柄で集めたりとか、少しわかってくると初期伊万里のいい物を、それでも5万円ぐらいだったかな。それが今は3倍から4倍しているのかな。そういう自分なりのものを集めていけば面白いコレクションが出来ていくよね。

 

Q 絵や美術品を買う場合、住宅事情が気になってくるのですが。

 

A 慣れてくると、そういうことも気にならなくなってくるよ。100点近く持っている人は全部飾っているわけじゃないからね。そういう人は買うことが面白くなってくるというか。もちろん全部閉まっておくわけじゃないけれども。昭和の初期までは家には必ず床の間があって、メインの床の間と小さい床の間用に四季それぞれに掛け軸を架け替えて。少なくとも10本ぐらいは持ってて当時はそういう楽しみ方があったわけで。むしろ戦後そういうゆとりがどんどん壊されていったんじゃないかな。でも圧倒的に庶民にコレクターが多いっていうのは逆に日本の強みだからね。
今どこ行ってもびっくりするのはアニメだよね。とにかく日本のアニメが幅広く浸透していて。その辺りを中心として、日本に来てそういった物を見たいといった時に博物館や美術館が必要になってくるよね。僕なんかも最初は外国出て行くことなんて夢にも思わなかったんだけど、扱っている作家さんが外国とのつながりを持っていたり、アートフェア出ようかなんていう話になったり、どんどん海外とも付き合いが頻繁になっていくはずだから。古美術の人の方が早い段階で外国に出て行ってたんだよね。現代美術やっている人たちの方がそういったことでは遅れているんだよね。作家の個々の奮闘に任せているんじゃなくて、画商もなんとか食い込んでいくことを考えていかないと。

 

Q 最後に東京アートアンティークにお越しになる方に一言メッセージをお願いいたします。

 

A 今回やるFa-Qみたいな変な作家がいて、そういうものを見て楽しんでいただければいいなと思います。

 

お忙しい中ありがとうございました。

(2011年4月)

 

東京都中央区京橋3-3-4 フジビルB1

店舗案内

http://www.kawafune.jp/

 

 

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