2011年より東京アートアンティーク店主インタビュー企画を始めました。

なかなか聞けないお店の裏話からプラーベートまで様々なことにまでお話いただきました。

店主の人柄や興味深い趣味のお話、初心者へのアドバイスまで個性溢れる内容となっております。

 

 

 

薫匠堂 四季彩舎 西川美術店 浦上蒼穹堂 侘助 ギャラリー川船 翠波画廊 つつみ美術 ギャラリーこちゅうきょ

薫匠堂

 

四季彩舎

 

西川美術店 浦上蒼穹堂 侘助 ギャラリー川船 翠波画廊 つつみ美術 ギャラリー
こちゅうきょ
天宝堂 三渓洞 古美術 祥雲 古美術 ささき 中長小西 かどまつ誠心堂 松森美術 平野古陶軒 井上オリエンタルアート
天宝堂 三渓洞 古美術 祥雲 古美術 ささき 中長小西 かどまつ誠心堂 松森美術 平野古陶軒 井上オリエンタル
アート

 

 

■古美術 祥雲

 

 

 

 

 

祥雲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祥雲

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祥雲

 

 

 

 

関隆氏

(商品を拝見させていただいていた時にお話をお伺いしました。)
ここにあるのはうちがオリジナルで作ったものなんです。額を壁からつるすための道具なんですが、鍵をかけて使う方もいるみたいです。その他に作品をのせる台、袱紗など、美術品を飾ったり収納したりするためのもの作ってもらっているんです。美術品はガラスがあることで保護していると思われているんですけれども、それが仕切りにもなっていることもあると思うんです。美術館というのはガラスの中にさらにガラスがある場合もあるじゃないですか。だから作品が遠い存在になってしまっている。だけど掛け軸というのは、なるべく酸素にあてないようにしているから保護にはとてもいいんです。もちろん途中でメンテナンスは必要ですけれども、千年ぐらいは持つことがすでに証明されています。ただ、いろいろな意味で掛け軸だけではなくて額装も必要になってくるから、現代にマッチするようにするにはどうしたらいいかな、と思って。

この額は銀の箔を使っていたりこちらは木に胡粉といって牡蠣の貝殻の粉を塗っているんです。こちらの作品を乗せるトレーは、ちょっと浮いた感じを出す立ち上がりがポイントなんです。日本の古い家具は、足の下にちょっと出っ張りがあって、そのために非常に量感が軽やかに見えるんですよ。どれも伝統的なやり方を使いながら、今に合うように提案しているんです。僕らは美術品から色々な勉強をしているわけですけれども、それを現代に活かすとなると今まであまり発想が無かったんですよね。もちろん僕はこれが本業ではないんですが、この美術品を引き立たせる道具をうちで提案しているということなんです。どれも作家さんとのコラボレーションというか、お願いして日常でも使ってもらえるようなものを作ってもらっています。あとうちではすべての商品に時代と値段を明記しています。
これはうちの女房が出した本ですが(本を手渡しながら)よかったら読んでみてください。NYにもお店があって、日本の古美術を理解してもらうために色々とやっていて、日本でも若い方とか興味の無い方に興味を持っていただけるような工夫を考えています。
僕も最初は古美術品について全然わからなかったんですけど、その初心を思い出すのに結構苦労しているんですよね。だから今回の東京アートアンティークでは、お客さんにも素朴な疑問を聞いていただいてそういうのも含めて資料として皆さんにお渡ししたいとは思っているんですね。
あと二日間、ギャラリートークをやったりというのは平野さん(平野古陶軒)のお声かけで、そういうことを積極的に参加したりだとか、その他にもホテル西洋でレクチャーをやったり、昭和女子大という大学で教えたり、一方堂さんというお茶屋さんのしつらえを今度やらせてもらうんですけれども、そういったものは全部ボランティアでやらせていただいています。他にもレストランやお料理屋さんに商品、といってもそこで売るわけではないんですが、置いてもらっています。それはいかに美術品を普段から近いところで見ていただくかというのをテーマに考えています。こういった古美術品というのは季節感も大事ですし、料理とすごくリンクするでしょ?春を感じたり、夏を感じたり、それを口だけではなくて、目でも感じてもらいたいと思っています。あと、縄文時代の石器を作るとか、そういう実践もやっています。それは単に工作を楽しむのではなくて、当時の人たちがいかに手工芸というものに対してレベルの高いものを持っていたかということが自分でやるとわかるんですよ。この間は縄文土器で料理をしたんですよ。

 

Q ご自分で料理されたのですか?

 

A いえ、もちろん僕もやったんですが、それはプロの料理研究家に頼んで、縄文時代の食材とある程度の当時の技法も使って。美味しいものを作らなければ彼らに申し訳ないですから。彼らは食べられればいいといって料理していたわけじゃないんですよ。美味しく食べていたはずなんです。ワインみたいな果実酒を飲んでいたのもわかっていますし。だから縄文時代でもちゃんと文化的な生活をしていたんです。そういったことに思いを馳せるきっかけにしたいんですよね。
去年の東京アートアンティークでは、縄文時代の破片をご来場された方に1個ずつお配りしたんです。それは何故かというと、その小さな破片の中にたくさんの情報が詰まっているんです。例えば、どうやって文様をつけたのかとか、思ったより硬いなとか。それを触ったりすることで理解するんです。土器は実際に使っていたわけですから、もろいものではなくて、ちゃんとした道具で焼き物なんだと感じてもらうことが出来る。それによって、遠い存在だったものを近く感じることが出来るんですね。
例えば、このお札なんかは、版画というものを考えた時に日本の非常にすぐれた文化が裏付けとしてわかるわけです。レンブラントの版画は和紙が沢山使われていたということが最近よく言われていますね。

当時日本の和紙は最高レベルの紙だったんです。日本ではすでに12世紀から版画が作られていて残っているんです。中国や韓国にも沢山古いものはあるんですが、美術館にしかないんです。でも日本では12世紀の版画を、それも国立博物館にある同じものが買えるわけです。浮世絵版画に至までというのは、実はこういう版画のバックボーンがあって江戸時代の初期に浮世絵版画に行くものと平安時代から続く仏教版画として続くものと分かれ道があって、その風俗画が錦絵になっていったんだな、とわかったり。そういう背景を持ったお札は千円ぐらいからあるんです。千円でも価値がないわけではなくて、今では出来ない技術を使っていたり、そこにご先祖様が作って来た文化を受け継いでいく一つの価値を見いださないといけないし、現代アートに通じる面白さがあるんです。僕らはそういうものを紹介していかないといけないんです。歴史資料としてだけではなくて、現代の人が見ていいなと思ってくれるような、そのものを引き立たせるにはどうしたらいいか考えなくてはならないんです。せっかく美術の豊かな日本という国に生まれて来たわけですから、古いものを栄養にして現代に出した方がDNA的にもいいと思うんですね。個人としてこういうものと向き合うことで何か見えてくるものがある。そしてそれがきっかけで人生が豊かになってくれるのではないかと願っていて、そういう意味でそれはその人自身のものになると思うんですよね。100年前は今の価値観と違いますし、今の価値観は100年後には別の価値観で生きているかもしれませんよね。だから僕らの世界は無常だということを知って欲しいとも思うんです。100年前と今の大きな違いは死に対する意識です。生に対して純粋だったり、生きる濃密さが今の時代とは違うというか。でも本来なら今の時代でも今日を一所懸命に生きなくてはならないでしょ?僕は当時の人の意識とか真剣さを古美術品から学んだんです。それは勾玉の穴を一つ開けるにしてもそうです。実際に僕の友達が翡翠に当時の方法で穴をあけたら3ヶ月かかったそうです。当時翡翠は一番固い石だったんですが、もっと柔らかい石でやればいいのに、僕はそこに穴をあける行為に意味があったのではないかな、と思ったんです。人間には不可能を可能にするような、そういったことに対する欲求が強いんですね。縄文の土器にしても神様のための器だから人間が使いやすいようには出来ていないんです。価値観が全然違うんですよね。そこには人間の限界と無限性があって、必ず自然の方が上なんですよ。だからそうやって生きていた人たちの遺品から見えてくるんです。

 

Q こちらを始める前はどちらかで修行されていたのですか?

 

A 僕は甍堂さんにいました。うちの女房はOLだったんですけれども、脱サラしてここを創業したんです。お小遣いを貯めて買ったりしていたので、好きだったんですね。
僕は骨董屋さんになるとは思っていなかったんですけれども、アルバイトで1年限定だったんですが、結局3年経って京都にもお店を出すからというんで、そっちに行って、それで女房にも出会えたし、骨董屋さんになるしかないなって(笑)。でも初めはね、骨董屋さんで食べていけなかったんです。新聞配達と警備員の仕事をしながらやっていたんです。厚木でお店をやっていたのだけど、なかなか誰も買ってくれないじゃないですか。でも主婦の方に色々と話しているとだんだん欲しくなるみたいで。だからあのエリアにはこういったものを沢山持っている人がいるんです(笑)。でも本を品物と一緒につけたり、レクチャーをしたり、お客さんと一緒に美術館にいったりして。僕が前にいたお店はわかるお客さんばかりでしたから、説明とか必要なかったんですよ。それが当たり前だと思っていたんですが、厚木に行ったらそんな方はいらっしゃらなくて、逆に疑われてしまうわけです。ですからわかるように説明しなくてはならないわけです。そこが僕の原点になっていますね。外国の人たちに対しては日本の歴史をほとんど一から説明しなくてはならないですよね。現代の日本人も似たような所があるので、僕らにとってそういうことがますます大事になってくると思います。主婦でも学生でも、そういう方が来てくれるようなお店になりたいなと思っています。逆にこういう風にしたら入りやすいよとか、こういう風になったらいいのにという提案があったら是非教えて欲しいんです。僕は昭和女子大で教えていますが、僕には考えつかないような質問がかえってくるんです。それが大事なんです。それを丁寧に答えて行くことによってお互いの距離が縮まるんです。僕はわかった気で易しく話したつもりでも相手にはわからないことがあるので、素朴な疑問を投げかけてもらうしかないんです。
私たちのひいひいひいおじいさんぐらいはこういうものを作っていたんですよ。そういう風に実感してもらえるとね。今、学者の方とも連携して医学的に骨やDNAを調べて、縄文人はネアンデルタール人とは違って僕らの先祖だという意味で意識が変わってくるわけです。その頃の遺体にはほとんど殺されたり争った遺体がないんですよ。ところが弥生時代になると、首をはねられたり槍でさされた遺体が沢山出ている。だから縄文時代というのは非常にピースフルだったんです。矢尻が刺さってなおっている形跡もあるんです。そういうことは美術とは関係ないんだけれども、そのものを知る手がかりになる。平和で祈りに満ちた時代だったんだと。アバターをご覧になりましたか?あれは縄文なんですよ。あれを思って今度縄文土器を見て下さい。最近僕はアバターの宣伝ばかりしているんですが…(笑)。
縄文人はフグだって食べてたって言うんですよ。フグを食べてたということはちゃんと処理をしたということだし、美味しいから食べてたんだと思うんです。毒のあるものをわざわざ食べるわけですから。でも人間はそういうことを乗り越えちゃうんでですよ。すごいでしょ?
だから最初はかわいいとか、自由でいいなとか、そういう所から入ったっていいんですよ。衣食住足りたら美術はいらないというのは、猿のような生活でいいと言っているようなものです。人間にとっては、映画も音楽も美術も必要なんです。料理だって栄養だけ摂ればいいというわけではないですよね。

 

Q 東京アートアンティークに来られる方に一言メッセージをお願いします。

 

A 僕が言うと売るためだと思われちゃうかもしれないけれど、美術や音楽や演劇とかというのは、人間にとって必要なものだと思います。古美術というのは現代と違う価値観でできたものなので、その違いを感じるのも楽しいし、美術品から純粋に受ける美しさとか力強さというのもあると思うのですが、素直に見てもらって、疑問質問は遠慮なくお店の人に聞いて頂きたいです。そうすればもっとわかるし、こういうものは情報量が少ないですから。あと、今回のおまつりだけではなくて、時々覗いていただきたいです。一年に一回とかシーズンに一回とか。シーズンに一回ぐらいでしたら皆さん展示も変わっているはずですから。そんな風に生活に取り込んでいただけたらいいなと思います。

 

(2011年4月)

 

古美術 祥雲

東京都中央区銀座1-5-15

店舗案内

http://www.shouun.co.jp/

 

 

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