2017.3.19

Manners to enjoy seeing art Part 1: about touching art works

※この記事では、ギャラリー・画廊・古美術店を総称して「ギャラリー」としています。また、「ギャラリー内」を「店内」を表記しています。

ギャラリー巡りに慣れない方にとって、わからないことや気になることが幾つかあると思います。特に気になるのがスタッフの目線、展示物の扱いやそのお値段についてではないでしょうか?気持ち良くギャラリー巡りをしていただくために、幾つかの疑問や不安に答えていきたいと思います。

•   展示品は断りなく触ってもいい?


•   初歩的な質問は嫌がられる?

•   作品の値段を聞くのは失礼?  

ギャラリー内の展示作品は断りなく触ってもいい?

美術館では、作品に触れてはいけないというのが私たちの常識です。そのため、ギャラリーに行っても、基本的には許可なく作品に触れてはいけません。

ですが、美術館とギャラリーの大きな違いは、作品が「商品」であるか、そうでないかです。そのため、ギャラリーでは美術館と違い、至近距離でじっくり観察し、実際に手にとって感触を確かめたりできることでもあります。買うために吟味する作業です。そうすると、作家の息づかいや素材の生々しさが、よりリアルに伝わってきて、実際に手にとってみると驚くほど華奢で軽かったり、手に馴染みやすかったり、見るだけではわからないこともたくさん発見できるものです。これがギャラリーで作品を鑑賞する醍醐味ではないでしょうか?

ですが、高価そうな作品を手にとって万が一のことがあっては大変なことに…と不安がよぎり、せっかくの機会を利用できなくて後悔するのはもったいないですよね。こういった不安は、作品を見る上でのマナーを知っておけば、解消されることが多いものです。(注)絵画作品は触れてはいけません。

そこで、幾つか作品を見る上で、これだけは守っていただきたいということがあります。

•   大きな荷物は他のお客様の迷惑にならないところへ置かせてもらう


•   作品に顔を近づける時は、ハンカチなどで口元を覆う

•   手にとってみたい作品があれば、まずはスタッフに作品について話を聞く


•   スタッフと話している中で、手にとってみてもいいか、尋ねる


•   作品を手に取る時は、アクセサリーを外す

•   作品を手に取る時は、低い位置で

• 作品の写真撮影はNG?

 もう少し詳しく解説しましょう。

  

大きな荷物は他のお客様の迷惑にならないところへ置かせてもらう

ギャラリーの中には、小さいスペースに作品が並んでいたり、作品をケースなどには保管せず、そのまま展示していることが多いものです。もともと一度にたくさんのお客様を受け入れるというよりは、一人ひとりのお客様とじっくり作品について語り合い、吟味していただく場所として始まっていますので、ギャラリーというよりは、お客様を迎える「応接間」のような雰囲気が残るところも少なくありません。そのため、手荷物があたって作品を倒してしまうこともあるかもしれませんし、他のお客様にとって店内を通りづらくしてしまうこともあります。ギャラリーに入ったら、まず大きな手荷物は近くのスタッフに置いておける場所がないか聞いてみましょう。スタッフもその一言で作品に対する配慮を歓迎してくれることでしょう。

  

作品に顔を近づける時は、ハンカチなどで口元を覆う

展示されている作品の中には、非常に古く、繊細なものもあります。ついつい細かく書かれた絵の筆跡を追って顔を近づけてしまうこともあるかもしれません。お友達とお話ししながら顔を近づけて作品を見ることもあるかもしれません。中には傷みやすいものもありますので、顔を近づけて見る際には配慮が必要となります。幾つかのギャラリーを回っていると気づかれるかもしれませんが、慣れている人はハンカチなどで口元を覆う癖が付いています。ちょっとしたことですが、これだけでもギャラリーのスタッフから見れば、安心できる要素になります。そこには作品に対する、見る側の心遣いが宿っているからです。

 

 

 

手にとってみたい作品があれば、まずはスタッフに作品について話を聞く

まだ作品の扱いに慣れていない場合は、まずはスタッフに手にとってみたい作品がどういったものなのか、一言尋ねてみてください。そうすることで、手にとってみてもいいか聞きやすくなりますし、スタッフがいる前で作品を手に取ることができて安心できます。作品はやはり、説明を受けることで見ただけでは気がつかなかったこと、知らなかったことを知ることで、より作品を楽しむことができます。また、その作品にまつわるエピソードや裏話を聞くことができことで魅力を増していくものもあります。もちろん、その作品の色使いや形が気に入ることもあるでしょう。ですが、それも時代の特徴なのか、あるいは、その作品や作家が特別なのか、では随分と見方や思い入れも変わってきますよね?

  

スタッフと話している中で、手にとってみてもいいか、尋ねる

少しスタッフの方と話ができたら、実際に作品を手にとってみてもいいか尋ねてみてください。もし、作品が非常に高価なもので特別な配慮が必要なものでしたら、スタッフが自ら手に取り、見せてくれたりもします。あるいは、「こちらでどうぞ」と別室やテーブルのあるところへ案内されることがあるかもしれません。

 

作品を手に取る時は、アクセサリーを外す

さて、実際に作品を拝見できることになったら、まずしていただきたいのは、手からアクセサリー類を外すことです。指輪やブレスレット、腕時計など、作品に当たってしまいそうなもの、長いネックレスなどでも基本的に外します。

 

作品を手に取る時は、低い位置で

作品を手に取る時は、その作品が置かれている台や案内されたテーブルに、両肘または両腕が安定するように置き、両手でわずかに持ち上げて拝見します。これは、万が一手元から落ちても最小限の衝撃で済むようにするためです。もちろん、そのようなことがないように細心の注意を払って扱ってください。決してその場から離れて歩き回ったり、裏を見るために頭上へ持ち上げたりせず、手元の位置で裏へ返し、体の方を近づけるようにして拝見してください。じっくり心ゆくまで拝見したら、そっと元の位置に戻します。特に焼き物などは、実は耳や取っ手があっても、そこを持ってはいけないものです。必ず胴の低い位置を持って持ち上げます。また、薄手のものや、直しが入っているデリケートなものもあり、指でコンコンと叩いたりするのは、実はお勧めできる行為ではないのです。

もし、状況が違ってどのように拝見したらいいのかわからない時は、正直にスタッフに尋ねてみてください。ギャラリーとしても、扱いに慣れない手つきで触られるのはハラハラしますし、物によっては扱いが難しいものもあります。わからずに手に取られるより、きちんと知って扱ってもらう方がスタッフも安心して説明ができ、お互いに気持ち良く拝見してもらうことができます。

作品の写真撮影はNG?

作品が気に入った作品が見つかると、スマホで写真を撮っておきたいな、と思ったり、SNSに投稿したくなるかもしれません。ですが、ギャラリーで扱っている作品の中には、撮影がNGのものあります。ネットに流すのはNGだけど、個人的な思い出として取っておくのはOKなど、ギャラリーによっても対応が違うので、写真を撮りたいときは必ずスタッフに一言声をかけてくださいね。売り物でないものを展示している場合や、色々な事情があります。そういったものは、持ち主に対する配慮が必要だったりするので、マナーとして一言断りを入れるのが大切ですね。

東京アートアンティークは初心者の方に美術品に慣れ親しんで人生を豊かに過ごしていただくことが目的です。遠慮なく聞いてみてください。

 今回は「展示品は断りなく触ってもいい?
」ということにポイントを置いて書きました。次回は「初歩的な質問は嫌がられる?
」です。

 

関連記事:

•   アート観賞マナー講座 その2 初歩的な質問は嫌がられる?


•   アート観賞マナー講座 その3 作品の値段を聞くのは失礼?

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