西岡文彦展
翠波画廊
ジャンルを越えて日本美術を更新してきた表現者
柳宗悦門下に学び、民藝の思想と伝統技法を継承する版画家として歩みを始めた西岡文彦。
その活動はやがて、美術の枠を越え、広告、出版、舞台芸術、国際的プロジェクトへと広がっていきます。
山本寛斎パリ・コレクションやYMOワールドツアーへの作品起用、さらには1992年の国連地球環境サミットでの広報出版への参加など、その実績は国際的にも高く評価されてきました。
西岡が提唱した「ジャパネスク」という概念は、日本的美意識を現代へ翻訳する試みとして、後の「クールジャパン」へと連なる文化的原型とも言えるものです。
またNHK『日曜美術館』をはじめ、『世界一受けたい授業』『タモリ倶楽部』『たけしの誰でもピカソ』をはじめとする数々の番組での監修・出演を通じ、美術を社会に開いてきた功績も特筆すべき点です。
版画から絵画へ─肉筆で描かれる現在地
本展では、西岡文彦が長年の版画制作で培ってきた構成力を、肉筆画として展開した最新作を一堂に展示販売いたします。
色彩と筆致を直接キャンバスに重ねていく表現は、西岡にとって大きな転換であり、同時に自身が提唱してきた「ジャパネスク」という思想を、より自由で現代的なかたちへと開く試みでもあります。
本展示作品の大きな魅力は、何よりも色彩の楽しさ、美しさにあります。
「ジャパネスク」と聞いて想像されがちな古典的・和風のモチーフ表現ではなく、グラフィックで軽やか、いまの空間に自然に溶け込む作風です。
アクリル絵具をベースに、墨や水彩を重ねることで生まれる透明感とリズムが、画面に心地よい躍動感をもたらしています。
本展では、色彩豊かな作品を、飾っていただきやすい小品サイズから数多く展示販売いたします。
すべてがオリジナルの一点物でありながら、コレクションに加える一作としてはもちろん、初めてアートを迎える方にもおすすめです。
日常に飾り、眺め、楽しむ─そんな絵画との新しい関係を提案する展示となっています。
作家より 本展によせてージャパネスク 再起動
私が「ジャパネスク」という言葉を提唱したのは1981年。
今日と違い、「和風」や「日本的」といった言葉は、なかば自虐的にしか使われない時代のことでした。
作品が松岡正剛の主宰する工作舎の出版物に掲載されたのを機に山本寛斎パリ・コレクションやYMOのワールドツアーに起用され、私の目の前に新たな世界が広がった頃のことで、子供の頃からアートやデザインといえば洋風を良しとすることに違和感を感じていた私なりの「日本応援宣言」でした。
あれから、じき半世紀。
新たな時代に向けて、日本と海外、版画と絵画、民芸とデザイン等々の境界を超えて、自身の技法と美意識を再点検、再起動する試みとして挑戦したのが今回の個展です。
(2025年12月 西岡文彦)
【西岡文彦 略歴】
1952年 山口県に生まれる。
1977年 日本版画協会展 新人賞
1978年 国展 版画部 新人賞
1979年 日本現代版画家21人展(米国クリーブランド美術館等)
同年、工作舎に入社、雑誌「遊」の編集・デザインを担当
1989年 NHKスペシャル「驚異の小宇宙 人体」アート・ディレクター
1992年 国連地球サミット公式新聞(Earth Summt Times)編集委員
1998年 2005年愛知万博企画委員
2005年 リュブリアナ国際版画ビエンナーレ50周年展 招待出品
個展(2003〜2022養清堂画廊)
その他 日本現代版画大賞展、現代日本美術展、版画グランプリ展、国際青年美術家展、西武美術館版画大賞展 等、公募展多数
「ジャパネスク」の提唱者、初の肉筆個展 西岡文彦展
長年にわたり、美術を「語り」、社会へとひらいてきた西岡文彦。
その思想と経験が、いま初めて、肉筆の絵画として結実しました。
画業の節目に生まれた一点物の新作群は、まさに現在進行形の作品です。
いま迎えることに意味のある作品として、ぜひコレクションにお加えください。
最新情報は公式ウェブサイトをご覧ください。
https://www.suiha.co.jp/information/nishioka-fumihiko-exhibition/
★トークイベント開催決定★
2026年1月10日(土)16時~
(※予約制)
アクセス
翠波画廊 Gallery SUIHA
〒104-0061 東京都中央区銀座1-9-19 法研銀座ビル1F
03-3561-1152 10:00 - 18:00 日曜・祝日 公式ウェブサイト @gallery_suiha
