2023.10.2

店主の小咄 vol.4 | 日本橋のオアシス

髙島屋本館の屋上庭園

髙島屋本館の屋上庭園

「高子」の面影を残す建物

「高子」の面影を残す建物

【一番星画廊 星 巌】 

日本橋と聞いて私の頭の中に真っ先に浮かぶのは、「日本橋という橋」でもなく「道路網の起点としての日本橋」でもなく、「日本橋髙島屋」です。

両親が現在の場所に一番星画廊をオープンしたのは1987年、その時私は小学校5年生でした。開廊記念展は中川一政展、一歳年上の姉と私は自宅で少し早い夕飯を食べてから画廊のオープニングパーティーに向かうことになっていました。

小学校から帰宅し、一着しかない一張羅の洋服に着替えて、母が用意してくれていた夕飯を食べていた時に、誤って食事をこぼしてしまい服に大きなシミを作ってしまいました。どうしようかと思いながらも他に余所行きの服はもっていなかったので、そのシミの付いた服のまま姉と二人で東西線に乗り日本橋へ向かいました。日本橋に着くと、姉に連れられ髙島屋の子供服売り場へ行き、姉の見立てで少しお洒落な服を購入しその場で着替えて一番星画廊へ。数千円の買い物だったと記憶しておりますが、当時としては使ったことのない金額でした。姉はいったいどこからそのお金を持ってきたのか、今でも不思議に思っています。

画廊に到着すると、用意しておいたものと違う見たこともない服を見て母はびっくり、小学生の子供二人で髙島屋で洋服を買ってきたことに父は喜んでいる様子だったよう記憶しています。それ以降日本橋に行く度に、髙島屋で買い物をしたり家族で食事したりと、日本橋髙島屋は私にとって大切な思い出の詰まった百貨店となりました。

 

さて、前置きが大変長くなりましたが、ご紹介したいのはその髙島屋本館の屋上庭園です。

普段はあまり訪れる機会のない場所かもしれませんが、下界の喧騒からは想像できないくらい開放的な空間が広がっています。テーブルとベンチも用意されているので休憩することもできるし、カフェも併設されていてランチやティータイムを楽しむこともできます。夏季にはビヤガーデンも開催されて賑わっています。タイムスリップしたかのようなエレベーターホール、かつて「高子」という象が飼育されていたという面影を残す建物、噴水やローズガーデン等、見どころも満載の日本橋の貴重なオアシスです。画廊巡りでお疲れになられた時は是非寄って頂きたいスポットです。

【一番星画廊 星 巌】 

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一番星画廊 Gallery Ichibanboshi
11:00-18:00
東京都中央区日本橋3-6-9 箔屋町ビル1階 
Hakuyacho bldg. 1F, 3-6-9 Nihonbashi
TEL:03-3272-2525,  FAX:03-3272-2526
WEB:i@ichibanboshi-g.jp
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「店主の小咄」では、アートなこの街で店を構える個性的な店主たちの寄稿文を掲載しています。
美術のこと、まちのこと等、興味のある内容があればぜひ店主のお店を訪ねて話を聞いてみて下さい!

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