2023.4.17

To exhibit art works that move one's heart | The newly opened ROD GALLERY's vision

2023年4月に東京都中央区京橋に開廊した「ROD GALLERY」は、もともと画廊だった場所をリニューアルしたコンテンポラリーギャラリーです。オープンに至った経緯や、ギャラリーの名前に込めた想いについてディレクターの藤田さんと運営の川本さんに伺いました。

  

「ROD GALLERY」オープンにかけた想い

  

――この度はギャラリーのオープンおめでとうございます。

藤田:ありがとうございます。ここは40年ほど前から「並木画廊」があった場所で、3年ほど前にオーナーさんが変わったのをきっかけにこの場を新たに活用する形でコンテンポラリーギャラリーを作りました。私がその企画やディレクションを担当させていただいて、2年間かけて準備をして2023年4月にオープンしました。私自身は画家として活動しながら、展示のテーマに合った作家さんのセレクトなどを担当していて、川本を含めた他のスタッフには普段の運営をお願いしています。

 

――「ROD GALLERY」の名前の由来について教えてください。

藤田:ギャラリー名は、ダウジングロッドの「ロッド」が由来です。ダウジングロッドは水脈などの見えないものや、なくしものを探すために使われています。それと同じで、作品の表層だけではなく中にある作者の意図や思想、実験的な取り組みなどが見える作品を展示したいという意味を込めています。また、作品自体がロッドの役割を果たし、鑑賞者の感情や記憶を揺り動かすイメージで名付けました。ギャラリーのロゴも、中心の文字をロッドで囲むデザインにしました。

 

  

中学時代からの縁がきっかけで、ともに開廊へ向けて歩むことに

  

――藤田さん・川本さんのご経歴と、一緒にギャラリーを運営するに至った流れについてお聞かせください。

藤田:私は子どもの頃からずっと絵を描いてきて、大学を卒業後に画家として活動してきました。現在は京都芸術大学で講師も務めています。私の絵のテーマは、目に見えない世界やパラレルワールドについてです。そういった世界を目に見える形にしたり、何か別のものと繋がってしまいそうな空間や場面を描いたりした作品の制作を続けています。画廊の新しいオーナーさんからディレクションのお話をいただき、もともと新しいことや刺激的なことをするのが好きなタイプなので、面白そうなお話だと思ってオープンに向けて取り組んできました。

川本:私は母が芸大の日本画出身で、小さい頃から絵に触れる機会が多くありました。また祖父も絵画のコレクションをしていたり、私自身も元漫画家だったりして、もともと絵は好きでした。藤田に出会ったのは中学生の時です。それまで母の日本画しか知らなかったのですが、油絵を描いている人を初めて見て衝撃を受けました。子どもながらに「この人天才だな」と思っていました。今回はギャラリーのオープンを手伝って欲しいと言われて一緒にやることになりました。

 

――中学時代からずっと付き合いがあるお二人なんですね。2年間、ギャラリーのオープンに向けて準備するうえで印象に残っていることはありますか。

川本:私は主に裏方作業の担当で、オープンの準備はとても忙しくて大変でしたがすべてが新鮮な体験でした。最初に藤田から手伝ってと言われたときは驚きましたが、今まで色々な場面で藤田の手伝いをすることがあって、今回も自然と一緒に取り組む流れになっていったと思います。  

藤田:私が印象に残っているのは、他の作家さんの魂に触れられたことです。グループ展や個展の開催にあたって様々な作家さんにアプローチをかけますが、選ぶ絵柄は毎回バラバラです。でも徐々に、そのどれもが「自分から見て尊敬できる部分がある作品」という共通点があることに気づき始めました。自分の感性とは違うけれども、面白い・興味深いと思える作品や作家さんとの出会いは、今まで自分一人で絵を描いている時とは違う感覚でした。他の作家さんたちにも何かのテーマがあって、それを表現するべく真剣に取り組まれている姿に触れられたのはとても刺激になりました。

   

 

「将来は絵を飾る仕事に就く」不思議な予言が的中

  

――藤田さんは画家でいらっしゃいますが、川本さんも昔から絵に携わる仕事がしたいと考えていたんですか。

川本:いえ、特にそういう希望があったわけではありません。でも、とても不思議な話ですが以前ある方に「あなたは絵を飾る仕事をすることになる」と言われたことがあります。

藤田:ちょっとスピリチュアルな話かもしれませんが、川本にはたまに会う不思議な人がいます。川本が最初にその人に会ったのは9年前で、その人は波長の合う人の未来が少しわかるらしいんですね。それで当時、将来の仕事の話になったときに「今後は絵を飾る仕事をする」と言われたそうです。川本は最近までそのことを忘れていたんですが、その人は川本や私が絵に携わっていることは一切知らずにそれを予言していたんです。他にもその時話をされたいろいろなことが的中しています。

――なんだか神秘的なお話ですね。

藤田:実際に9年後の今、絵を飾る仕事をするようになった頃に、川本はまた広島駅のベンチでその人に再会しました。特徴がある方なので見つけたときはすぐにわかり、そのときに「ギャラリーで働くことになりました」と報告したら、「そのまま進んでください、あなたはその仕事をやることになってますから」と言われたそうです。

川本:9年前の会話はすっかり忘れていたのですが、ふと思い出してびっくりしました。とても不思議な体験ですが、なりゆきで就いたと思っていたギャラリーの仕事は、もしかしたら何かに導かれてなるべくしてなったのかなと感じた出来事でした。

  

 

ROD GALLERYを運営するうえで大切にしたいこと

 

――これからROD GALLERYとして「こんな作家さんを紹介したい」というコンセプトがあればお聞かせください。

藤田:ギャラリー名の「ロッド」のコンセプト通り、表層的な作品ではなく作家さんが見つめているものが作品を通して鑑賞者に伝わるようなものを紹介していきたいですね。いつの時代も変わらない普遍的なものや、作家さんが人生の中で真剣に向き合っているものなど、鑑賞者の心の奥底に何かの刺激を与えて新しい価値が発掘できるような作品でギャラリーを埋められたらいいなと思います。 

――作家さんとこういう風に付き合いたい、という方向性はありますか。

藤田:まだオープンしたばかりのギャラリーで、開廊する前に展示を承諾してくださった作家さんたちにはとても感謝しています。ギャラリーの個性がすでにある状態ならば、作家さんの個性にあわせてOKやNOという返事がしやすいと思います。しかし、今後の可能性に賭けて賛同していただけたのは本当に嬉しく思いますね。ですので初期の作家さんを大事にしながら、今後も多くのご縁をつなぎたいと考えています。

  

 

ビジュアルの奥にある作品の心を楽しんでほしい

  

――今度の東京アートアンティークでは、どんな作家さんを紹介する予定ですか。

藤田:グループ展として、彫刻家の成田輝さん・写真家の長谷良樹さん・画家の濱口健さん、そして私の4名で展示をおこないます。作風はそれぞれ違いますが、一目見た時に作品から受ける印象と、その奥にあるイメージとが同時に存在しているのが全員の共通点です。表面のビジュアルの美しさや面白さは必要だと思いますが、その表層だけではないものが感じられる作品を展示したいと思っています。

  

――東京アートアンティークにいらっしゃる方々にメッセージをお願いします。

藤田:今回の作品は、ROD GALLERYの今後の方向性を感じ取っていただけるものとなっています。グループ展4名のうち濱口健さんは引き続き5月から個展も開催予定です。私自身が画家であり、ディレクターでもある点がROD GALLERYと他のギャラリーが違うポイントだと思いますが、作家目線でも鑑賞者目線でも面白いと思える、様々なジャンルの作品を今後紹介していければいいなと思います。

  

――ROD GALLERYがこれから作り上げていく世界観が非常に楽しみです。本日は素敵なお話をありがとうございました。

 

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