2025.4.19

世界のアートシーンを見据え、多様な作家とともに歩み続けて 「KOSAKU KANECHIKA」

KOSAKU KANECHIKA 金近 幸作 様

  

━━KOSAKU KANECHIKAさんは、今までこのエリアに少なかった、国際的に活躍するアーティストらの作品をご紹介する、現代美術のプライマリーギャラリーです。2024年11月、TODA BUILDINGの開業に合わせて、3階のギャラリーコンプレックスの一角にオープンされました。

 

はい、こちらは2017年3月にオープンした天王洲のスペースに続いて、2箇所目です。
ギャラリーを立ち上げた初期の頃から、桑田卓郎さんや舘⿐則孝さん、青木豊さん、佐藤允(あたる)さんら、国内はもちろん、今は海外からも注目され国際的な活躍をしている作家と仕事を続けてきました。

絵画や陶芸、テキスタイル、写真と幅広いメディアの作家と仕事をしています。いずれもこの先10年20年と長いスパンでコミュニケーションを続けながら、国内外のどこで誰に向けたプレゼンテーションが適しているのか、どう展開したら発展があるのか、など、いろいろとイメージし、状況を見ながら活動しています。

  

 

━━天王洲と京橋とで、ご紹介する作家や作品に違いはありますか。

 

今のところは特に変えてはいません。また直近では、青木豊さんの展覧会を2箇所同時に開催してもいました。
天王洲と京橋では、スペースのサイズはほぼ一緒ですが、来客者数が全く違います。こちらは近隣にお勤めの方や、ビル内で開催される催しの来場者、隣接するアーティゾン美術館にいらした方など、この場所ならではの客層なので、様子を見ながら今後のプログラムを検討しています。

 

  

━━「東京アートアンティーク2025」の際は、絵画の朝長弘人(ともなが・ひろと)さんの個展「雷」を開催中ですね。すでに何度か展示をなさってきた作家と伺いましたが、どんな魅力をもった方でしょうか。

 

朝長さんの絵画は、画像と実際の作品とで見え方が全く違ってきます。絵肌に特徴があって、同じ手法で描いた作品でも、構図や色使いの違い、眺める角度の違いで、それまで全く見えなかったものが見えてくるような感覚があります。
ただ、具体的な景色や風景を描いている訳ではないので、作品のタイトルと実作品とを見比べ、作家の意図を想像しながら鑑賞して頂くのをおすすめ致します。

2023年、24年と、天王洲で個展を行い、今年(今回)で3回目の開催です。京橋のスペースでは初めての個展となりますが、空間をイメージしながら展覧会の準備をしてもらい、大小様々なサイズの新作9点で構成された展覧会が出来上がりました。エントランスを入った真正面の壁には、幅3.3メートルもある500号の作品を、また幅3メートル300号の作品も展示しました。画像だけでは作品の良さが本当になかなか伝わらないので、ぜひギャラリーで直接ご覧ください。

 

  

━━KOSAKUKANECHIKAさんに限らず、ですが、現代美術のギャラリーというと、とても静かで、スタッフの方からの声がけなどもなく、というところが多い印象です。店主と会話する機会も多い古美術や骨董のお店とは、どこか雰囲気が異なりますね。

 

そうかもしれません。スタッフに声をかけずに、さっと観に来てお帰りになっても大丈夫ですし、お客様自身で情報が得られるよう、作家のプロフィールや、展示内容を伝えるDM、作品リストなどを常に置いています。価格についてはスタッフがお答えしますので、お声がけください。

また、現代美術の良さの一つは作家が存命であることですので、展覧会の初日、オープニングの時間などにいらしてもらえれば、作家本人が在廊していますので、作品のことなどを直接聞けます。海外が拠点の作家も来日して準備しますから、スタッフに声をかけてもらえればご紹介できますよ。

 

━━ありがとうございます。展覧会ごとに制作されているA5サイズのDMは、広げるとA2サイズのポスターのようになり、読み応えがありますよね。両面ともカラー印刷で、天王洲のスペースでは折り目のついていないものも配布されています。ギャラリーを始めた当初から制作されているのですか。

 

  

最初はポストカードでしたが、オープンして約半年後でしょうか、桑田さんの個展のタイミングから制作しています。通常、店頭にプレスリリースとDMを置いているギャラリーが多いのですが、以前からポスターサイズの印刷物を制作したいと考えていた事もあり、プレスリリースとDMを合体させた今の形式になりました。

  

   

━━そうでしたか。そもそも金近さんが、小山登美夫さんのギャラリーで勤務するようになったのは、どんなきっかけからですか。

  

私が大学生だった頃、ちょうど1990年代後半は、小山さんや、タカ・イシイギャラリーの石井さん、乃木坂の国立新美術館の近くにあるGALLERY SIDE 2の島田さんらが、都内でギャラリーをオープンされたタイミングでした。アメリカやヨーロッパで開催されるアートフェアに積極的に参加したり、トム・サックスやエリザベス・ペイトンなど、今や世界中で知られる海外作家たちも、当時は都内の小さなスペースで作品を展示することもあり、私は雑誌で情報を集めては展示を観に行っていました。

在籍していたのは総合大学でしたが、かつて表参道にあったGALLERY 360°でアルバイトを2年、その後、小山登美夫ギャラリーに14年在籍しました。当時は奈良美智さんの展覧会で、国内外へ出張することも多く忙しかったですが、作家やコレクターなど多くの方々との関わりが楽しくて、ここまで続けてこれたのだと思います。

  

  

 

━━今もまさに、国内外のアートシーンの最前線で現代作家を紹介し続けていらっしゃいますが、最後に、この先どんな展開をしていきたいとお考えでしょうか。

 

そうですね、先日、3月末に「アートバーゼル香港」へ出展していましたが、まだアメリカやヨーロッパでの展開が少ないので、これから広げていけるといいかな、と。90年代から2000年代の頃は、今ほどアジアでアートフェアが開催されておらず、小山さんの世代のギャラリストは最初からアメリカやヨーロッパのフェアに参加していましたが、今ではギャラリーやフェアの数が増えた事により、クオリティの高いアートフェアには、ある程度のキャリアや実績があって初めて参加できる、という状況ですので。

また、所属作家の方々とは、作品の内容について具体的に提案することはしないものの、それぞれのキャリアや作風などに合わせて、今後どんな展開をしていくのが良いのか、客観的な視点からお話ししながら、共に仕事を続けていけたら、と考えています。

  

 

━━ありがとうございます。京橋も天王洲も、そして今後の海外でのご活動も、楽しみにしています。

   

KOSAKU KANECHIKA
https://www.tokyoartantiques.com/gallery/kosaku-kanechika/

 

インタビュー・執筆:Naomi
https://naomi-artwriter.my.canva.site/

撮影:東京アートアンティーク実行委員会

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