2025.9.13

『京橋アート・アベニュー』第26回 シルクランド画廊が紡ぐ美の世界。日常を豊かにするアートの力 

中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第26回 2025年8月22日放送
出演者 シルクランド画廊 久保田和也さん
ナビゲーター:JUMIさん
*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。

  

 

新たな舞台は京橋:シルクランド画廊、移転後の魅力を語る

 

JUMI
ハローラジオシティ京橋アートアベニュー。今日はオープニングでもご紹介しましたように、京橋2丁目にこの春移転なさったシルクランド画廊さんから、久保田和也さんにお越しいただきました。久保田さん、こんにちは。

 

久保田
こんにちは。

 

JUMI
よろしくお願いいたします。久保田さん、この春に移転なさってきたということですが、京橋の街、どんなふうに感じていらっしゃいますか?

 

久保田
銀座6丁目で22年間営業しておりましたが、ビルの建て替えで移転を余儀なくされました。当初は銀座で良い移転先が見つかればというのが第一希望だったのですが、結果的に難しく、1階の店舗で見つけるのは困難でした。そんな折、京橋に良い場所が見つかり、移転できたのですが、今まで長くお付き合いさせていただいているお客様からも、ほぼ100%「前よりいいね」という声をいただいており、大変嬉しく思っています。

 

JUMI
それはよかったですね。少し安心なさったのではないでしょうか。

 

久保田
ええ、当然私たちスタッフもみんな、とても気持ちよく仕事をさせていただいています。

 

 

京橋の街並みに溶け込むアート:早業よりも大切なこと

 

JUMI
銀座から京橋ということですが、中央通りはずっと繋がっていますし、新しいお店も中央通り沿いにあるということですね。

 

久保田
はい、そうです。

 

JUMI
久保田さん、今日のメッセージテーマが「これだけは負けないあなたの早技」ということなのですが、こんな落ち着いた、穏やかなお話しぶりの方にそんな早技を伺うのも少し気が引けますが、何かありますでしょうか。

 

久保田
これはもう私の性格からすると、本当に対極にあるようなテーマでして…。家内にも「もっとチャキチャキできないの?」といつも言われているような、おっとりしている性格だと思うので、早業を見つけるのは非常に難しいですね。

 

JUMI
いえいえ、そんなことないと思いますよ。とても久保田さんのお人柄が滲み出るお話だと思います。ありがとうございます。それでは早速ですが、久保田さん、シルクランド画廊さんのご紹介をお願いいたします。どのような画廊で、どのような作品を扱っていらっしゃるのでしょうか?

 

 

中国と日本、そして世界へ:シルクランド画廊の多彩な作家たち

 

久保田
はい。本日、少し都合がありまして、画廊の店主である顧定珍(こていちん)が参ることができませんでした。彼女は上海の生まれで、現在は日本国籍を取得して生活しています。もともと、中国にゆかりのある作家たちを銀座で紹介していくというのが、画廊の取扱作家の主力メンバーでした。2003年のオープン当初はそうだったのですが、2008年頃からでしょうか、徐々に日本人作家さんたちとのご縁も深まってきましたので、現在では日本人作家、中国出身作家、そして時には欧米作家もご紹介しています。国内外を問わず、日本画や油絵といった平面絵画が中心ですが、2年に1回だけ、非常に人気のある作家さんで、木彫を制作する作家の作品もご紹介させていただいています。

 

JUMI
そうでしたか。実は今日、スタジオにも素敵な作品をお持ちいただいておりまして、まさにそういった作品がシルクランド画廊さんを象徴するものなのだと思います。シルクランド画廊さんでは、創業の時に「日々の暮らしを豊かにする作品を」ということを大切にされていたと伺っていますが、実際に久保田さんにとって、アートとはどのようなものなのでしょうか?

 

 

 

何気ない日常に輝きを:アートがくれる心の豊かさ

 

久保田
そうですね。日頃ご紹介させていただいている作品にも通ずることなのですが、私どもの画廊で紹介している作品というのは、何気ない日常の一コマを切り取ったようなものをモチーフに制作されていることが多いように思います。普段見過ごしてしまっているような、いわば平凡なものをモチーフに制作している作品が多いのですが、優れた作家の手にかかると、時として見る人にすごく輝きを放つものであったりするわけですよね。私にとっても、普段何気なく見過ごしてしまっているようなものでも、アートによって気付かされたり、普段少し忘れてしまっているようなことを思い起こさせてくれるものであってほしいなという思いで、作品をご紹介させていただいています。

 

JUMI
本当にある意味マジックですよね。そういう風な印象を持って作品を見ると、自分が都会の中で揺さぶられていて、疲れ切っている時も、ハッと違う世界に連れて行ってくれたりしますよね。先ほどお話に出ました代表の顧さんも、そういったことがきっかけでこの世界に入られたと伺っています。北澤美術館で作品に触れたことがきっかけになったということですが。

 

久保田
そうですね。当時、彼女は上海から文化女子大学(現:文化学園大学)に留学していたのですが、当時の中国人留学生ですから、大変な思いをして日々アルバイトに追われながら、心身ともに疲弊した生活を送っていたそうです。そんな中、北澤美術館で見た美術品に心を打たれ、アートというものがこんなにも疲弊した心を癒し、勇気づけてくれるものなのだということに目覚めたそうです。それで、全く違った職種から美術の世界で仕事をしたいという思いが強くなったようです。

 

 

水都蘇州への郷愁:孫家珮が描く心の原風景

 

JUMI
そうなんですね。今日スタジオにお持ちいただいた作品も心を癒してくれそうですが、今回お持ちいただいた作品はどなたの、どんなものでしょうか。

 

久保田
2003年の画廊開廊当初から、唯一毎年年に1回の個展が22回継続して続いている作家でありまして、孫家珮(そん かへい)さんという中国出身の、やはり上海生まれの、現在東京在住の作家さんの作品です。日本在住36、7年になるかと思います。

 

JUMI
そうですか。水路の中に船が浮かんでいる絵ですね。どこからか暖かい日差しが当たっていて、本当に晴れやかに気持ちを和ませてくれる作品で、そのコントラストがとても素敵ですね。

 

久保田
おっしゃる通りです。

 

JUMI
これはいつ頃の作品なのでしょうか?

 

久保田
ごく最近の作品ではあるのですが、モチーフというか、孫先生の描かれるものというのは、作品のほぼ90%ぐらいが水のある風景なんです。

 

JUMI
そうなのですね。しかも藍色というか、素敵な色ですよね。

 

久保田
ええ。描かれている中国の蘇州という場所は、水の都とも呼ばれていまして、描かれている場所は蘇州を中心にした江南水郷と呼ばれる地域です。ただ、作家ご本人もおっしゃっているのですが、「どこにもない風景ですよ」とおっしゃっています。

 

JUMI
どういうことでしょうか?

 

久保田
今描かれている風景は、目の前にある風景をそのまま映し取ったものではなく、作家が幼少期に夏休みになるといつもおばあちゃんの家に遊びに行っていた蘇州で体験した、ひと夏の思い出とか、幼少期の懐かしい気持ちが投影されているそうです。現在の風景を取材はするのですが、当時の風景を重ね合わせながら制作されているということです。

 

JUMI
なるほど。孫さんの頭の中にずっと残っていた記憶が、今、絵として現れているということなのですね。なんだか穏やかな気持ちで見られますね。

 

久保田
ありがとうございます。

 

 

9月、シルクランド画廊で孫家珮の世界に浸る

 

JUMI
この孫家珮さんの展覧会も間もなく開催されるということで、ご紹介いただけますでしょうか。

 

久保田
ありがとうございます。9月14日から27日までの2週間の会期で、孫家珮先生の個展を開催させていただきます。

 

JUMI
ぜひ多くの方にお越しいただきたいと思うのですが、見どころはどんなところでしょうか?

 

久保田
今日お持ちさせていただいた作品は、先ほどご説明させていただいたように、蘇州を舞台にした作品なのですが、展示会場に並ぶ30点余りの作品は、ヨーロッパの風景と中国蘇州を中心にした水郷風景が半々ぐらいの割合で展示される予定です。その大半は、やはり水のある風景で、ヨーロッパですとベネチアですとか、ベルギーのブルージュですとか、アムステルダムといった、水の都と呼ばれるような運河が発達している地域を好んで取材した風景が多くなっています。

 

JUMI
どれもが本当に穏やかで…。

 

久保田
孫先生の気質そのものなのですが、本当に穏やかで癒される風景が並んでいますので、まだ暑い日が続く9月、ぜひ涼しげな気持ちで見ていただけると思います。

 

 

京橋散策の途中に:シルクランド画廊でアートとの出会いを

 

JUMI
ありがとうございます。シルクランド画廊さんは開廊時間が午前11時から夜の7時30分までですので、お仕事終わりにぜひお立ち寄りいただくことも可能ですね。ありがとうございました。それでは最後になりますけれども、ぜひ久保田さんからリスナーの皆さんに一言メッセージをお願いできますでしょうか。

 

久保田
ありがとうございます。京橋に移転してまだ5ヶ月弱ですので、これから京橋の良いところをどんどん見つけていきたいと思っています。以前、京橋にはちょっとした路地を楽しむという特集がラジオでも放送されたことがあったと思うのですが、まさにそういった目抜き通りから少し中に入った路地にも、素敵な画廊がたくさんありますし、アーティゾン美術館をはじめ、新しい現代アートを発信するようなスペースも新しくできています。本当に画廊巡りが楽しみやすい街にどんどん変わってきていると思いますので、ぜひシルクランド画廊にも、銀座中央通り沿いで、地下鉄の京橋駅からすぐですので、お気軽にお立ち寄りいただければと思います。

 

JUMI
そうですね、アクセスが良いですね。

 

久保田
はい、お待ちしております。

 

JUMI
ありがとうございました。シルクランド画廊、中央区京橋2-5-22 キムラヤビルの1階です。というわけで久保田さん、今日はありがとうございました。

 

久保田
ありがとうございました。

  

シルクランド画廊:https://www.tokyoartantiques.com/gallery/silkland-gallery/

   

中央エフエムのブログはこちら

https://fm840.jp/program/hello/2025/08/22/38744

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