2026.2.14

『京橋アート・アベニュー』第31回 50年の時を超えて見つめる日本の美。鈴木正臣さんが語る、明治以降の日本美術

中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第31回 2026年1月23日放送
出演者 株式会社鈴木美術画廊 代表取締役 鈴木正臣さん
ナビゲーター:JUMIさん

*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。

 

 

バブル崩壊後の京橋へ:50年のキャリアを持つ美術商の原点

 

JUMI
ハローラジオシティ 京橋アートアベニュー。皆さん、中央区京橋には日本一のアート街があることをご存知ですか。古から現代まで多彩なアートの魅力を発信する街、ここは150ものギャラリーが集う日本有数の美術街なのです。江戸時代からアートと縁が深く、美術館級のお宝からご家庭で楽しむアートまで何でも揃うアートの街です。そんな京橋に店を構える美術のプロの方たちを月替わりでお招きして、アートの街としての魅力を語っていただいています。最近は銀座、京橋、日本橋と範囲が広がっていますよ。

さあ、では参りましょう。京橋アートアベニュー。今日スタジオにお招きいたしましたのは、鈴木美術画廊から代表取締役でいらっしゃいます鈴木正臣さんです。鈴木さん、よろしくお願いいたします。

 

鈴木
よろしくお願いいたします。

 

JUMI
とてもシックで落ち着いた雰囲気で、穏やかな方でいらっしゃいますね。鈴木さんと京橋とのつながりは、どのあたりから始まっているのでしょうか。

 

鈴木
バブルが終わりまして、その後に家賃が下がってきた時が一つのチャンスと考え、出店したのが最初のお付き合いの始まりです。

 

JUMI
そうでしたか。当時この京橋に、まさにお店があったということですね。私たちが今いる東京スクエアガーデンのエリアですか。

 

鈴木
ブラザーさんの裏側という一言で分かる方もいらっしゃるかもしれません。

 

JUMI
ではようこそお戻りくださいました。

そして今はどちらにお店をお持ちでいらっしゃるのですか。

 

鈴木
今は銀座一丁目に立地の良い物件がありましたので、運良く一丁目に出店させてもらっています。

 

JUMI
そんな鈴木さんに伺いたいのですが、まず今日のメッセージテーマ「健康のために気をつけていらっしゃること」を教えていただいてもよろしいですか。

 

鈴木
なるべく毎日、朝のラジオ体操をすることです。

 

JUMI
すごいですね。これはラジオ体操第一と第二もなさるのですか。

 

鈴木
日によって両方の時もあれば、片方の場合もございますね。

 

JUMI
やはりこれは朝、自分の体を動かし始めるのにとても重要なきっかけになっているのですね。

 

鈴木
朝目覚めの行事になりました。

 

JUMI
そうですか。本当に長くこのお仕事に携わっていらっしゃると思うので、健康は一番ということになりますよね。お仕事に携わられてからはどのくらいになるのでしょうか。

 

鈴木
この業界に入りました時から数えると、ちょうど50年ですね。

 

JUMI
50年も‼半世紀ですね。

 

鈴木
独立して営業を始めて、大体39年ぐらいです。

 

 

明治以降の日本美術:近代を目指した作家たちの挑戦

 

JUMI
具体的に言うと、現在この鈴木美術画廊さんではどんな作品を扱っていらっしゃるのですか。

 

鈴木
一言で申し上げると、明治以降の日本画、油彩画ですね。それにある程度の工芸品も扱わせていただいているという意味では、全般的に扱わせていただいているということです。古美術はまた別のジャンルかなと思います。

 

JUMI
それではたくさんの素晴らしい絵画や作家の方たちをご覧になっていらっしゃると思いますが、これまでの流れをご覧になってきて、日本の美術はどのような変遷を経てきたと、特に明治以降についてお考えでしょうか。

 

鈴木
やはり明治以降は「近代」という言葉を、多くの作家さんが目指したところがございます。ヨーロッパのものを取り入れたり、またはそれと合わせて日本の昔の奈良・平安時代のものを現代に持ってきたりして、様々に工夫された時代だったと思います。それが今日まで続いている原点になっていると考えています。

 

JUMI
鈴木さんが長くこのお仕事をなさってきて、様々なお客様がお見えになったと思いますが、お客様と作品との出会いについて、鈴木さんほどの経験をお持ちの方であれば、このお客様にはこの作品が合うだろうといった、一期一会のつながりを予感されるような感覚はおありなのでしょうか。

 

鈴木
ほとんどないと思っていただいた方がよろしいかと思います。本当に人それぞれのお好みで、そういう目を持たれていると思います。

 

JUMI
お客様が一瞬ご覧になって「この作品が素敵ですね」と言われたものが、まさにその方の感性の表れということですね。

 

鈴木
そうですね。

 

JUMI
最近は海外の方も、この銀座、京橋、日本橋エリアを訪れていらっしゃいますが、お店にはいかがでしょうか。

 

鈴木
中国の方や西洋の方も来られますが、なかなか成約までは至りません。ただ、中国の方などは自国に持ち帰って商売をすることも考えているようで、そういった作品を扱っているところであれば、良いのではないでしょうか。

 

JUMI
そういうことなのですね。自分で大切に持つ、すごく気に入って自分の部屋に飾るというのが、やはり作品の本当の良さではないかと思います。

 

 

速水御舟のローマ滞在デッサン:大正から昭和を駆け抜けた天才画家

 

JUMI
そんな中で、今日はスタジオに素晴らしい作品をお持ちいただきました。鈴木さんからご紹介をしていただきたいのですが、何という作品なのでしょうか。

 

鈴木
大正から昭和の10年にかけて画壇で活躍した代表的作家の一人、速水御舟のこれは昭和5年にローマに行きました時の取材の一枚でございます。

 

JUMI
デッサンと呼んでよろしいでしょうか。

 

鈴木
そうですね。デッサン、スケッチ、素描、いくつかの言い方があろうかと思います。

 

JUMI
この速水御舟という方は、どんな作品を私たちが知る限りで、例えばどんな作品というのがありますか。

 

鈴木
有名になっていますから、皆さんご存知かと思いますが、「炎舞」という炎と紅蓮の中に蛾が舞っている絵と、あと「名樹散椿」といいまして、五色の椿を一木に描いた四曲屏風があります。この2点が世間的には非常に有名だと思います。

 

JUMI
今日は図録をお持ちいただいていますが、私でも見たことがある作品ですね。

 

鈴木
これは今、山種美術館に所蔵されていますね。

 

JUMI
これを「ぐれん(紅蓮)」と読いうのですね。

 

鈴木
私が勝手に言ってしまいましたけれども、赤い、という意味で…。

 

JUMI
紅、紅という文字ですよね。有名なLiSAさんの「紅蓮華」という曲は、きっとここからヒントを得たのではないかと思ったほどです。この紅蓮の美しい炎の形、そしてそこに蝶なのか、昆虫が舞っているから「炎舞」というタイトルなわけですが、何とも言えない作品ですね。

 

鈴木
インパクトが強いですよね。

 

 

 

JUMI
この作品を描いた速水御舟さんの、今日はデッサンということになるのですけれども、海外の女性をスケッチしていらっしゃる。これはローマに行ったからということですよね。

 

鈴木
そうですね。多分、取材している中で或る洗礼堂に、マゾリーノという作家が描いた壁画があって、それにインスピレーションを受けられて、その一部を描いたもののようです。人物一人描いています。

 

JUMI
頭像と言いましょうか、首から上の部分を描いているということですが、すごく品があります。デッサンですから色味はないのですが、それでも肌の透け感といったものが伝わってくるほど美しい作品ですね。こういったものは普段、鈴木さんはどのようなところで、どのようにして手に入れられるのでしょうか。企業秘密でしょうか?

 

鈴木
秘密ではないのですが、我々の業界では市場がございまして、そういったところでの出会いがあり、たまたま私の方に回ってきたということでございます。

 

JUMI
ご縁ですね。

 

鈴木
そうですね。

 

JUMI
この作品は、今度鈴木さんの画廊を訪ねさせていただいたら、拝見することはできますか。

 

鈴木
普段は掛けていませんが、来週は1週間掛けておきたいと思います。

 

JUMI
ぜひ皆さん、いらしていただいて、「ラジオでおっしゃっていた作品を拝見させてください」と言っていただければと思います。住所は銀座1-13-4、大和銀座ビルの1階ですので、もうすぐにお分かりになると思います。鈴木美術画廊という素敵なお構えのお店でございますので、ご覧いただきたいと思います。

 

 

 

JUMI
これから日本の美術がどのように展開していくのかということもありますが、鈴木さんはこれから、この鈴木美術画廊をどのようになさっていきたいとお考えでしょうか。

 

鈴木
従来もそうなのですが、亡くなった方の作品も扱わせていただきますし、若い作家さん、現代の生きている作家さんの展覧会も含めた形で、その二面の方向を基本として営業してまいりたいと思っております。

 

JUMI
本当に優れた作品、そして私たちが振り返って知っておかなければいけない作品がたくさんあるわけで、そういったものを鈴木さんのところで拝見できるのを本当に楽しみにしております。どうもありがとうございました。

 

鈴木
ありがとうございます。

 

JUMI
というわけで、今回の京橋アートアベニューは、鈴木美術画廊から代表取締役でいらっしゃいます鈴木正臣さんにお越しいただきました。鈴木さん、ありがとうございました。

 

 

鈴木美術画廊:https://www.tokyoartantiques.com/gallery/suzuki-art-gallery/

 

 

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