2024.9.12
『京橋アート・アベニュー』第14回 京橋に近現代工芸のギャラリーがオープン megumu art
中央エフエムHello! Radio City「京橋アート・アベニュー」
第14回 8月23日(金)放送
出演者 megumu art 丸山恵さん
ナビゲーター:JUMIさん
*本記事は中央エフエムさんに許可をいただき、収録内容を書き起こして編集したものです。
京橋の地に新たにギャラリーを構えた理由
JUMI
皆さん、中央区京橋市には、日本一のアート街があることをご存知ですか?古から現代まで、多彩なアートの魅力を発信する街。ここは150ものギャラリーが集う、日本有数の美術街なんです。江戸時代からアートとゆかりが深くて、美術館級のお宝から、ご家庭で楽しむアートまで何でも揃うアートの街。そんな京橋にお店を構える美術のプロたちを月替わりでお招きして、アートの街としての魅力を語っていただきます。
それでは参りましょう。京橋アートアベニュー。今日スタジオにお招きしたのは、megumu artを経営なさっている、丸山恵(まるやま めぐむ)さんです。よろしくお願いいたします。
丸山
よろしくお願いします。
JUMI
丸山さんはこの京橋のアート街に新たにお店を持たれたということですよね?ようこそお越しくださいました。場所は京橋2-12-2、というとどの辺りになりますか?
丸山
そうですね。中国陶磁の老舗の繭山龍泉堂さん、それから、池内美術さん、かどまつ誠心堂さんの四つ角を昭和通りに向かって進んだ、ビルの2階です。
JUMI
そうですか。そして店名は「megumu art」とアルファベットで窓に書いてあります。なので、ぜひ皆さん2階を見ながら探していただきたいと思います。
そして来年の東京アートアンティークに参加なさる予定と伺いましたが。これはもう言ってもいいんでしょうか?
丸山
はい、もう先に今年の打ち上げにも参加させていただいて(笑)。
JUMI
そうですか(笑)。ゴールデンウィーク直前に行われます。来年が楽しみですよね。
まず丸山さん、この京橋という街に、新たにお店を出された印象を教えていただいてよろしいでしょうか。
丸山
日本橋から京橋、銀座にかけては、日本で最も美術商が集まっているエリアと言われています。一流のお店の数々が集う、歴史ある場所だと思います。
お店を探し始めた頃は、私には分不相応かなという、憧れの場所だと思っていました。他のエリアも探していて、六本木や表参道といった、新しくて華やかな港区界隈も、東京のアートの中心地の1つではあるんですけれども、私の扱っていきたい工芸美術の分野が、古美術店が多くて歴史と共に熟成されてきた、落ち着いたこの街の雰囲気にマッチすると思いまして。
JUMI
なるほど、それはそれはようこそいらっしゃいました。
この京橋という街も週末とかに歩くとすごく楽しい街じゃないかなと思うんですが、その中での突然のフリです!今日のメッセージテーマが「あなたの週末プラン」なんですが。突然申し訳ありませんけれども、丸山さん、今週末はどんなご予定でしょうか?
丸山
多分仕事してると思います(笑)
JUMI
やっぱり。どうしてもね、個人でお仕事なさっているとね。
丸山
開店したばかりで、まだ、オンオフの緩急がつけられなくて仕事をしているかと思います。
JUMI
週末にこのアート街を歩かれる方も多いので、土曜日曜日はお店を訪ねてくる、新たな客層もいらっしゃるかもしれないということを思えば、もちろんお店に。
丸山
そうですね。日曜日は閉めてるんですけど、土曜日は開けていますので。ぜひ遊びにいらしていただければと思います。
思春期に出会ったシュルレアリスムの不思議な世界に魅了されて
JUMI
そして、先ほどもちょっと触れていただきましたけれども、megumu artさんではどんな作品を扱っていらっしゃるのか教えていただいてよろしいでしょうか?
丸山
戦後ぐらいから現代にかけての、作家による陶芸、漆芸、木工、竹芸といった工芸美術を中心に扱っています。個展やグループ展で現代の作家さんを紹介しながら、一方で彼らの仕事のルーツであり、それらと共鳴するような、巨匠たちの質の良い作品を並行して扱っていきたいと思っています。
JUMI
そうですか。丸山さん本当にご自身が、そういった作品を扱ったり、アート、美術の世界に足を踏み入れようと思った起点はいつだったのですか?
丸山
中学生ぐらいの時ですね。
JUMI
何か衝撃的な出会いがあったのですか?
丸山
思春期の頃でしたけども、よくあるあるかもしれないんですけれど、教科書にシュールレアリスムの作家が紹介されていて、ルネ・マグリットとか、ジャン・アルプとか、その不思議な世界観に惹かれてしまい、美術はそこから好きになりましたね。
JUMI
その体験が起点になったということなのでしょうね。そして、まさにそれが今ここ京橋で花開いて、お店として体現されてるわけなんですけれども、どんなお店の雰囲気なのか教えていただいてもよろしいですか?
丸山
自然光が結構入るところで、全体としては白を基調にして、一部では重厚感も持たせた雰囲気も作りたかったので、アンティークの木製の台を置いたりですとか、お客様がリラックスして過ごしていただけるような空間になるようにと思って準備しました。
JUMI
そうですか。本当に最初にお店をお作りになる時ってワクワク感もあると思いますけれども、自然光が入るお店というのはなかなか無いですよね。
丸山
そうですね。ビルの窓が大きくて、すごく爽やかな光が入ってくるのでご好評いただいております。
初のギャラリー企画による作家の個展を11月に開催
JUMI
ぜひ皆様にもお店を訪ねてきていただきたいと思います。
そんな中で、今日は丸山さんが扱っていらっしゃる作品の1つをスタジオにお持ちいただきました。これはどなたの作品で、どういうものなのかもご紹介いただいていいですか?
丸山
はい。市岡真治さんの金属のお銚子なんですけれども。市岡さんは、この11月22日から12月1日にかけて私が独立してから初めて個展をする作家なんですね。
JUMI
記念すべき第1号の作家さんですね!
JUMI
市岡さんは金属の中でも特に鍛金といって、金属を木槌や金槌を使って叩いて伸ばして形を作って、表面に模様を施す仕事をされています。
JUMI
何工程もあるんですよね、これって。
今日スタジオに置いていただいたものなんですけどね、あとでお写真をアップさせていただこうと思いますけど、素材は何なのかというところから教えていただきましょうか。
丸山
はい。これは、ボディのところと蓋は銅です。表面に錫とか銀を流して質を作っていて、この「手」の部分とか「つまみ」はステンレスでできています。
JUMI
ステンレスって冷たくてシュッとした印象があるんですけれど、市岡さんの作品はそういうものではなくて、温かみさえ感じるものですよね。
丸山
はい。これは市岡さんの代表的なシリーズでもある、お銚子、小さなやかんのような形をしたもので、中にお酒を入れて温めて注ぐために使っていただくものなんです。
JUMI
なるほど。私がちょっと気になったのは、ちょうどこのつまみ、蓋の取手の部分のところがね、なんてきれいなプチプチでしょうって思ったんです。本当に言葉が貧困で申し訳ないんですけど、このプチプチ感はなんなんでしょう?
丸山
これはですね、この魚子(ななこ)と言って日本古来の、古くは奈良時代からある技法です。歯の先に、丸い歯の付いた棒、道具を使ってですね、1つ1つ丸い模様を打ち出しているんです。
JUMI
本当に細かい技法なので、近くに寄って、ガラス越しではなく見られるというのが、この京橋のアート街の魅力の1つだと思っています。まさに丸山さんのところでも、そういう風にして見せていただけるんでしょうか?
丸山
はい。実際に手に取ってご覧いただけたらと思います。
名品と呼ばれる作品には、時代が変わってもブレない芯がある
JUMI
ぜひ市岡さんの作品も含めてですけれども、今回新たにオープンなさったmegumu artさん自体を楽しんでいただきたいと思います。丸山さんからぜひリスナーの皆さんにメッセージをお願いします。
丸山
美術品の価値観とか、芸術の価値観って時代の流れで常に変化していて、工芸に関しても次々に目を引いて話題になる新しい作家さんが出てきて、追い掛けるのに疲れてしまうこともあるかと思います。でも歴史の中で、大切に伝わってきた名品と呼ばれる作品には、時代が変わっても、共通してブレない芯の部分があると思っています。
JUMI
それはその素材にしてもそうですよね。
丸山
素材を作家が理解して、その魅力をいかに引き出してるかというとこだと思います。
JUMI
この市岡さんの作品がまさにそれを物語っていて、銅であったりステンレスであったり、そのいろんな金属を組み合わせている。そこに例えば土だったり、木だったり、漆だったり、竹だったりと、本当にいろんな素材があって、それをそれぞれの作家さんがどんな風に料理するかというところが、丸山さんの紹介したいところになるんでしょうね。
丸山
それとやはり技術とか作家の表現の力が合わさった時に素晴らしいものできると思います。
JUMI
ぜひmegumu artに来ていただいて、丸山さんから直々に「この作品はね」って語っていただけるのを楽しみにしています。「お気軽に」っていう言葉でご紹介していいんですか?
丸山
もちろんです。
JUMI
ありがとうございます。
新店舗ということで、丸山さんご自身もドキドキのところもあるかもしれませんけれど、本当に京橋のアート街は、素晴らしい作品を扱っていらっしゃるところばかりです。その仲間に加わっていただいたという意味では、本当に感謝しかありません。
丸山
いえ、こちらこそよろしくお願いします。
JUMI
来年の東京アートアンティークには、丸山さんもご参加になるということです。なので、皆さんで楽しみにしていただきたいと思っております。それでは最後になりますけども、丸山さんからぜひお店のご紹介をもう一言お願いできますでしょうか。
丸山
皆様のご来店を心からお待ちしております。お会いできるのを楽しみにしております。
JUMI
ありがとうございました。今日の京橋アートアベニューは、megumu artから、代表でいらっしゃいます、丸山恵さんにお越しいただきました。丸山さん、本当にありがとうございました。
丸山
ありがとうございました。